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介護を通じ、見えてきた現実

2016.5.26 11:25〜産経新聞より引用しております〜

フジテレビ元キャスターの松本方哉さん くも膜下出血で倒れた妻の介護を通じ、見えてきた現実とは?


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 □妻の介護で厳しい現実、社会を温めること使命

 フジテレビの夜の報道番組「ニュースJAPAN」(昨年放送終了)でキャスターを6年あまり務めた解説委員の松本方哉さん(59)は番組を離れて、46歳のときにくも膜下出血で倒れた妻の介護を約8年続けてきた。過酷な介護生活の中で、ジャーナリストの目を通して、見えてきた介護の現実があるという。(玉崎栄次)

妻が倒れたのは、平成19年末です。夜、私の食事を作ってくれていた妻が「首の後ろが痛い」と言って倒れ込みました。突然のことでした。手術を受け一命は取り留めましたが、左半身に重いまひを負いました。

 〈くも膜下出血は「血管のこぶ」である脳動脈瘤(りゅう)が破裂して起こる。3分の1の人が発症時に死亡、3分の1が重い障害を負う厳しい病だ〉

 重い高次脳機能障害を発症しました。自分の病状の認識が低かったり、注意が働かなくなったりするため、日常の家事の動作が倒れる前のようにできると思い、転倒してけがをする恐れもあります。基本的に誰かが見守り、手助けする必要があるのです。

 その1年後、今度は卵巣嚢腫(のうしゅ)が悪性に転化して手術しました。立て続けのことで、頭の中が真っ白になりました。

 私は妻と息子の3人家族です。妻が倒れたとき、小学生だった息子は大学生になりました。あの日から私は、医師や看護師、リハビリの療法士、ヘルパーらに協力してもらい、息子と二人三脚で妻の介護をしながら仕事を続けています。

この8年あまり、私は本当に楽しいと思って笑ったことは一度もありません。

 自らには3原則を課しました。「油断しないこと」と「緊張を解かないこと」、そして「先を読まないこと」。油断や緊張の緩みは、状況を悪い方へ向かわせるかもしれない。また、先を読み始めたら、不安でいっぱいになってしまいます。いつか3原則を解いて、妻と息子と3人で、心から笑いたいと思います。

 妻は、8年前に比べて元気になってきてくれていると感じています。倒れるまでは、ビスクドールという西洋の人形を作るのが仕事でした。最近は、瀬戸物の天使の人形を買ってきて、陶芸用の絵の具で色を塗るリハビリをしています。初めは色がひどくはみ出ていたのですが、数を重ねるうちに、きれいに塗れるようになってきました。

 医師から、人形の裏に日付を書いて順番に並べてみるように勧められました。順を追うごとに進歩しているのが分かるんですね。

 医療や介護に携わる人、会社の関係者など心温かい人たちに背中をそっと支えていただき感謝しています。窮状では人の人間性がはっきり見えるといいますが、本当ですね。一番つらいはずの妻、私の支えになってくれている息子のことを考えると、この介護の闘いを無事乗り切っていきたい、と日々思っています。


 妻の介護をすることで、介護は情報が命であると確信しました。介護を受ける人も、介護をする人も「治療の最新情報を得る」、得た情報から「現状判断を正確に行う」、それによって「立ち向かう勇気と希望を持つ」の3点が大切です。

 私は妻の病やリハビリに関わる国内外の論文や研究資料を山のように読み、少しでも効果がありそうな方法を常に探しています。

 一昨年には、まひ状態になった手に電気刺激を与えながら、手のひらを開いて閉じる動きを繰り返すことで回復を目指す手法を見つけました。妻に役立つと判断し、主治医に相談してこの手法を応用したリハビリ治療をしてもらいました。

 6年余ぶりに今まで本人の認識の中で存在していなかった左半身に意識を向けることができるようになりました。私も息子も驚いています。

 私は今後も、自分の介護の経験、見聞きした情報を積極的に発信して、介護を受ける人やその家族にまだ冷たい社会を、少しでも温めることを「使命」と思っています。皆で手をつないで頑張っていきましょう。

【プロフィル】松本方哉

 まつもと・まさや 昭和31年、東京都生まれ。55年、フジテレビ入社。報道局記者として防衛庁担当やワシントン特派員などを経て、解説委員に。平成15年7月、「ニュースJAPAN」編集長。同年10月、キャスターに。著書に「突然、妻が倒れたら」(新潮社)。〜引用終わり〜

夜のニュースで観ていたキャスターさん。
その当時、奥様の話を聞いたときは
びっくりしました。
まだまだ長い介護の途中。

介護には何とも言い表すことのできない
分かっているけれどの時間。
身内の介護を観ていると
本当に日々新しい情報や、人の温かさに触れることは
大事なんだと実感します。

〜腸内環境は大切です〜